2024-03-04
1442)ひなまつり
幼少の頃、実家に雛人形はなかったと思う。私には3歳違いの妹がいたので、人形があってもおかしくはないはずだが、全く記憶にない。鹿児島は男尊女卑の土地柄だったから、女の子のお祝いなんかしなかったのかもしれない。あるいは家が貧しかったからそんな余裕がなかったのかもしれない。
その後、結婚し自分の家庭をもち、3人の子どもに恵まれた。しかし3人とも男の子だったので、雛祭りを祝ったことはない。それでも雛祭りの時期には、妻は持参した自分の子供の頃の雛人形、男女一対の内裏雛を、あまり目につかない場所にひっそりと飾っていたものだ。
その妻の内裏雛も近年は飾ることもなく、お目にかからなくなっていた。またグループホームのお世話になり始めてからは、人形を何処に仕舞い込んだものか、行方不明になっている。あのお雛様は彼女の記憶の中には残っているのだろうか。
そんな昔のことを思い出したのは、昨日の午後、妻の面会に行った折、グループホームの管理者から聞いた、思いがけない、嬉しい現状報告が呼び水となったものであろう。
『お雛様をお見せしたところ、「かわいいね」と言って貰えたんですよ。お昼のちらし寿司も美味しいと言って完食されましたよ。』
(2024/03/04)