現役時代、同じ職場に年がら年中ピロリ菌、ピロリ菌と騒いでいる先輩がいた。

　つまらない心配をする人だな～、くらいの受け止めで聞き流していた。以来ピロリ菌という菌のことを忘れていた。ところが数か月前、自分の前にそのピロリ菌らしきものが出現したのである。胃カメラをのんだところ、医者からピロリ菌がいるようだ、との宣告を受けてしまった。

　ピロリ菌がどんなものやらも知らぬまま、菌退治の薬を飲んだ。1ヶ月か2か月前のことである。そして菌が退治できたかどうか判定するために、数日前に血液検査を受けた。今日、電話で結果を問い合わせたところ、無事にピロリ菌が退治されているという返事をもらった。

　菌というからには勿論眼に見えるものではない。痛くもかゆくもなくて、自覚症状は全くない。本当にそんな菌がいたのかどうかも判然としないのに、退治できたと言われても嬉しくも悲しくもない。何だかすっきりしない気分である。

　　　　　　　　　　　　　　　（2024/03/05）