毎日乗降する折尾駅、その駅舎の正面、よく目立つ場所に最近不思議な生き物が出現するようになった。初めて見掛けてからだと、ゆうに1ヶ月以上になるだろうと思う。朝はいないが、夕方は必ずそこにいるのである。

　首からはハイパークレイジーだったかスーパークレイジーだったかという名札を提げ、持参のスピーカーから流れるメロディーに合わせて身体を動かしている。顔を真っ黒に塗り、身体は黒い模様を施した全身黄色のつなぎを着て、お尻には尻尾がついている。あの姿は虎を模しているのかもしれない。

　つなぎの中にいるのは、10歳代か20歳代の若者だろうと思う。毎日、毎日彼は何を目的として、みんなに何を訴えたいのだろうか、私には分からない。一度などは、2人の警察官に事情聴取を受けているような場面を見たこともある。駅舎の横に場所を移していたこともある。なんだか悪いような、失礼なような気がして、そんな彼を私は正視することも出来ないのである。

　　　　　　　　　　　　　（2025/02/21）