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てげてげブログ
2025-03-25

1971)深夜特急

 毎日の通勤電車。退屈しのぎに本を読んでいる。途中で眠くなってウトウト居眠りすることも多い。読む本はほとんど文庫本だ。ストーリー性のある長いものより短編集が読みやすい。読書傾向も何もない、ただ本屋の棚に並んだ本の中からその時目に付いたもの、興味をひかれたものを求めている。


 今は沢木耕太郎の「深夜特急」(新潮文庫全6巻)を読んでいる。デリーからロンドンまで、ユーラシア大陸を路線バスで横断するという旅行記だ。事前の計画も準備もせず、行き当たりばったり、言葉も通じない外国を貧乏旅行する著者の勇気と冒険心に恐れ入りながら読んでいる。


 有名な観光名所を巡るのではなく、著者の感性の赴くままにあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、感じとったことが率直に語られる。例えば、今朝読んだページには、アテネのアクロポリスの丘について以下のような記述がある。

 「このアクロポリスの丘は本当の意味の廃墟ではなかった。注意深く荒らしたままにしてあるという気配が色濃く漂っている。パルテノン神殿はどの角度から見ても間違いなく美しかったが、その姿は信仰の地として生きるでもなく、廃墟として徹底的に死に切るわけでもなく、ただ観光地として無様に生き永らえていることを恥じているようでもあった。」

              (2025/03/25)

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