
2025-04-28
1995)居眠り
気持ち良さげに居眠りをしていた。手に持つスマホがいまにも手から滑り落ちそうだった。気がついてか、無意識のうちにか、落ちる寸前で握りなおしてはまたこっくりこっくりしていた。またまた握る手が緩んできた。ああ、今度こそはガタンと大きな音を立てて・・と思う寸前でやっぱり握りなおした。
そして私が下りる一つ前の駅で、居眠りなんか忘れたかの如くバッグの中にスマホをさっさとしまい、颯爽と降りて行った。私は名人芸だな、と思いつつ見送った。ガタンというスマホの大きな落下音で、彼女が目を覚まして慌てる姿をいくらか期待していたのかもしれない。意地悪じじいである。
(2025/04/28)