
2025-07-14
2044)ナベツネ
いま、机の上に読みかけの本が2冊ある。どちらも元読売新聞主筆であった故渡辺恒雄氏、通称ナベツネ氏に関係する本である。
ひとつは「自民党と派閥 政治の密室」という、政治記者であった渡辺氏自身が執筆した本である。自民党派閥を中心とした政界の闘争が生々しく描かれている。ついたり離れたり、敵になったり味方になったり、裏切ったり裏切られたりしながら総理を目指す政治家たちの様子が実名で語られる。だいぶ古い時代のことで私の理解の及ばないところもあるが、面白い。
もうひとつは「渡辺恒雄回顧録」という本である。政治学者の御厨貴、伊藤隆、飯尾潤の3氏が渡辺氏に11回にわたって長時間のインタビューを実施し、このインタビューに基づいて執筆したものである。渡辺氏自身が本のまえがきで「この回顧録を自分で書けば、おのずからこれと異なったものになったであろう。自分では触れたくないこと、従って書くはずのなかったことが、三先生のインタビューの魔術によって、いつの間にか活字になってしまった。これが三先生の言われる「オーラルヒストリー」というものの手法なのだということが、かなり後になって理解できた。」と書いているのがまた面白い。
(2025/07/14)