2010-04-01
152)ふふふ 2010.4.1
文庫本には通常、巻末に解説文が付いている。この本の解説者の肩書きには『岩手 やまねこ農園・百姓 辻村博夫』と記されている。冒頭の自己紹介には「最初にお断りしておかなければならないのは、わたしが岩手の五反百姓だということです。文芸評論家や文学研究者ではありません。ただ、若いころから井上ひさしさんのファンで------」とある。
そのシロウトの解説文がまたいいので、その一部を転載してみたい。引用が長くなるので、2回に分けることにする。
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(途中略)でも、なぜ『ふふふ』というタイトルになったのでしょうか?
(途中略)では、なぜ「ははは」でもなく、「ひひひ」でもなく、「へへへ」や「ほほほ」でもなく、「ふふふ」になったのか?
そのへんから考えると、このエッセイ集の立ち位置が少しはわかるかもしれません。シロウトながら、井上ひさしさんのまねをして、わたしなりに笑いことばの分析(おおげさですね?)をしてみたいと思います。
「ははは」は、ただの笑いとう感じですね。裏もなければ、奥行きもない。ただおもしろい、ただ愉快だ、という感情の素直な表出、ということだと思います。漢字で書くなら「歯歯歯」。大口を開けて、虫歯のある奥歯まで全部見えてしまいそうな笑いです。
その点「ひひひ」は、どうも裏になにかありそうな笑いです。漢字をあてるなら「卑卑卑」というイメージで、文字通りカンジがよくない。腹に一物背に荷物、なにかよからぬことを考えている、というような笑いです。利権に動く政治家や役人が、賄賂をもらったときに発する笑い声なのでしょうか。
「へへへ」とはどんな笑いでしょう。必要以上に卑屈になっている感じです。なにか、義理ある人に借金を申し込む時にでるような笑いです。あるいは、自分の失敗をごまかす時に使いそう。漢字で表せば「屁屁屁」。思わずナニを放出してしまったときに、その場を繕うためには、こんな笑いになりそうですね。(以下続く)