2010-11-16
228)尖閣映像流出事件
そもそもが、中国人船長を突然、訳の分からない理由で釈放したのが発端だった。明らかに中国の恫喝に政府が屈服したもので、国民は情けない思いを深くした。しかも政府は釈放が検察独自の判断だったと言い続け、責任逃れを図った。かねてあれほど政治主導を唱える政権が、官僚である検察に大事な判断を委ねたと言い逃れするとはちゃんちゃら可笑しい話だった。
そして当初から不思議だったのがビデオ映像の扱いである。衝突時のビデオ映像があるというのは最初から報道されていた。それを公開しないのは何故なのか、自分に有利な映像を何故公開しないのか、ずっと疑問に思っていた。
中国が怒るのを前もって怖れたのか、あるいは中国に恫喝されて公開しないと密かに約束していたのか、国民には事実を隠したまま中国に膝を屈するつもりだったのか、あるいはもっと深い意味があったのかもしれない。事業仕分けやら何やら、日頃は情報公開を売り物にしている民主党政権だが、肝心なところでは極端な隠蔽体質をもっていることが露呈してしまったようである。
しかもその映像は初めのうち、海上保安庁内では誰でもアクセス出来たらしい。隠さなければならない情報とは考えられていなかった証拠だろう。中国を怖れた政府が、公開しないと決めたその時点から、政治的な意図で極秘情報に格上げされたのであろうか。
ついには正義感にかられた海上保安官が、国民にも知ってもらいたいと、インターネットを使って流出させた。この行為には賛否両論がある。私自身は、公務員個々人が自分の価値観、正義感に基づいて国家の情報を扱うことには、聊か怖いものを感じる。公務員はやはり組織の命を優先すべきではないかと思う。
しかしこんなにも頼りない、信頼のおけない、行き当たりばったりで事なかれ主義、国の将来を考えているとも思えない政府のもとでは、これからも色々なことが起こるのではないか・・・と思えてならない。(2010.11.16)