2011-07-11
308) やらせメール事件
玄海原発のお膝元、佐賀県で開催された原発に関する政府の説明会に、一般視聴者を装って賛成メールを送りつけるように、社内あるいは関係会社の社員に働きかけたのだという。新聞報道では、前副社長が関与していたとか、組織ぐるみだとかやかましい。
ありそうなことである。ものごとが自分に、あるいは自社に有利に運ぶように関係部門に働きかける、あるいは周囲の賛同を得ようとする。それを良いと言うのではないが、あって不思議なことではないような気もする。
しかしそのタイミングとやる場が最悪だった。世界中で原発の存在がこれほど問題になり、国民全体が神経質になっているこの時期に、しかも政府主催の説明会に向けて、当該の電力会社が自ら世論の誘導を図ったというのはやはり愚かだったというしかない。
加えてそのやり方のおそまつさに至っては、空いた口が塞がらない。
これがばれたら(表面化したら)問題になるだろうという認識が、九電にもしくは担当者にはなかったのだろうか。それが少しでもあったのなら、こんな稚拙なやりかたをしなかったのではないかと思う。あるいは九電にとってこれは日常茶飯事のやり口で、何の疑問も抱いていなかったのだろうか。
メールで大量に一斉に発信する。電子掲示板にかかげる。誰が見るか分からない。誰がプリントアウトするかわからない。この件に関わった担当者達の感覚を疑わざるをえない。お殿様気分で、平和ボケして、執務能力や危機管理能力が相当に劣化しているのではないかと思う。事実、九電が指示した文書のコピーを示しながら、共産党の国会議員が国会で取りあげたのが表面化の発端だった。社員の内部告発だという。
隣に座っている同僚からメールで連絡が届く時代である。大量に一斉に処理できる、という利便もある。それだけになおのことメールの使い方は慎重でありたい。
私の場合は、何事につけ、直接面と向かって話をするようにしている。時間的にあるいは物理的にそれが不可能な時には、電話で話すようにしている。私にとってメールは最後の手段である。遅れていると言われようと、そのスタイルを変えるつもりはない。(2011.07.11)