2013-05-01
460-2) 化ける
座るために今朝も行列の先頭に並んで電車を待った。
待った甲斐あって空席を見つけて辛うじて座ることが出来た。
ほっとして鞄の中から読みかけの本を出した。
その時である。
若い女の子が突然目の前の床にしゃがみ込んだ。
しゃがみ込むなりバッグの中から小さなケースを取り出した。
ケースの中には付けまつ毛がいくつもいくつも
びっくりしたような表情をして並んでいた。
彼女はその中から1個を選び出して
根元に接着剤らしきものを塗り自分の瞼に貼り付けた。
その作業をすばやく2回くりかえした。
数分後、生まれ変わった彼女がそこにいた。
電車やバスの中で化粧する若い女性は今や珍しくない。
世の中はだんだん進化する、女性もまた進化するようだ。
満員通勤電車の床にしゃがみ込み
堂々と人前で付けまつ毛をつけてみせるまでに進化する。
化けることはもはや人目に隠すことでもないようだ。
(2013.05.01)