2014-01-15
522) 殿
細川さんが8党派で組んだ連立政権の総理大臣になったのは大昔、もう20年も前のことである。総理にはなったものの、佐川急便からの巨額の借入金問題で揺れ、深夜の記者会見で突然の福祉目的税構想を発表、政権内部からも猛批判を浴びて四面楚歌、たった9ヶ月の短命内閣で終わった。何の実績も残さなかった総理だが、国会での予算審議を目前に、あの突然の辞任表明だけは印象に残っている。逃げ出したというのか、投げ出したというのか、そんな印象だった。
ほどなく自身の還暦を区切りとして国会議員を辞職したのが15年前。以後、政界とは無縁の淡々とした生き方を貫いていらっしゃるものと思い込んでいた。週刊誌などで陶芸に精出す姿を見る度に、その引き際の良さ、潔さには感動さえ覚えていた。もともとが肥後の殿様である。育ちが違うと生き方も違うものだと思っていた。
その殿様が76歳のおじいちゃんになって、今度は日本の将来に危機を感じたから都知事になりたいのだという。やはり育ちが違うと考え方も生き方も違ってくるのだろう。殿の生き方は庶民の想像をはるかに超えている。(2014.01.15)