いまどき、若い女性のピアスは珍しいものではなくなった。自分の身体に穴をあけて痛いだろうと思うけれど、美しくなるためには痛いぐらい平気なのだろう。

　両耳には何個もの飾りが揺れている。鼻に飾りをつけている人もいる。先日は、短いシャツでお腹をむき出しにして、おへそのあたりに煌めく飾りを着けている若い娘さんを見た。あれは何処に穴を開けるんだろう・・・

　最近はピアスを着けたり、化粧をしている若い男性もちょくちょく見かけるようになった。私が男のピアスを初めてみたのは40年以上前のことである。そのころ私が勤務していた工場では、2時間ほど離れた地に分工場を建設することになった。分工場の主力は本工場から異動することにして、相当数の現地の人材を採用することになった。その一環として現地の高校からの新卒採用を計画した。

　今まで採用したことのない高校を訪問して募集し、筆記試験や面接試験をし、素朴そうな男女数名の採用を内定した。・・・そして・・・明けて4月、彼らが入社してきた。うち何人かの男子がピアスを着けていたのである。

　当時のこと、びっくりした。ピアスを禁止する就業規則もない。そのままほおっておいた。実際に付き合ってみると見かけによらず素直な青年たちだった。

　あのまま勤続していたら、彼らも定年を迎える年齢になるはずだ。今頃どうなっているだろうか・・・まさかピアスを着けていることはあるまいと思う。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2023/5/24）