2023-11-15
1374)O君
一方の私はと言えば、今日から始まる一週間のあれやこれやを思いながら歩いていた。目の前の青年が誰なのか、一瞬思いつかなかった。見たことのある顔ではある。誰だったか?錆びついた脳味噌をフル回転させた。
そうだ、O君だ。12月1日から当社に入社してくるO君だ。3週間ほど前に面接した。他の候補者もいた中で、選考の結果O君をわが社の新しい仲間と決め、手続きを進めて、12月からの入社が決まったのだった。
心急ぐ通勤時間帯、しかもエスカレーターの乗り降り口、通行人が多くて立ち話もままならない。聞くと、実際の通勤時間帯にバスと電車を乗り継いで会社まで行ってみた帰りだという。O君が両親と一緒に暮らす自宅は海を渡った本州、下関だった。通勤に少々難があるのは承知していた。
入社前から試験運転してみるというO君の熱意と事前の準備に感心した。そしてその熱意が仕事に向けられたらいいコンサルタントに成長するだろうと期待を大きくした。心地よき朝のひと時であった。
(2023/11/15)