朝起きる。まずは郵便受けに入った朝刊を取りに行く。チラシ類をごみ籠に捨て、本誌のみを持ってテーブルに座る。1面から順にめくりながら読む。最初にスポーツ面を開くこともある。さらさらと目に付いた記事を拾い読み、新聞を読む時間はおおよそ30分間。

　それが今朝は5面でしばし止まった。そこには1面の全面広告が載っていた。林の中かと思える暗い背景のなかに、毛布様の布をかぶり、伸びた頭髪の中から角が生えたような人間の男の顔が大きく写っている。その中に白抜きの文字で、詩のような文章が目立つ。

『心の豊かさって、なんだ？

　眼に見えるものなのか。　頭で考えるものなのか。　誰かが教えてくれるのか。

　自分の中にすでにあるのか。　そもそも、答えなんてあるのか。　わからない。

　そんなとき人は「問う」ことから始めるらしい。　あの人は、どう思っているんだ。

　自分自身は、どう考えているんだ。　答えを急がなくていい。

　自分に、誰かに、問うことから。　まずは、はじめてみようと思う。

　心の豊かさを、もっと』

　その下に目立たない色で『　JT  　』という文字が読める。JTというのは昔の専売公社今では日本たばこ産業ではなかったかと思う。たばこ屋さんが何の目的でこんな広告を出すのだろうか。この広告でたばこの消費が増えるとでもいうのか。広告掲載料も馬鹿にならないだろう。読売新聞だけでなく、他紙にも同じ広告を出しているのかもしれない。JTは何を狙っているのだろうか。利益が出過ぎたから無駄遣い？ということはないと思うのだが。

　書き写してみたらピンとくるかもしれないと思ったのだが、写し終わってもわからない。

　　　　　　　　　　　　（2024/06/20）