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てげてげブログ
2009-11-26

109)やぶれたおしゃれ 2009.11.26

  終戦後ほどなく、まだ小さい子供の頃、あちこちにつぎのあたった服を着ていた記憶がある。膝が抜け、肘が抜け、どこかに引っ掛けてかぎ裂きをつくり、みんなおふくろがつぎを当ててくれていた。兄弟や親戚や隣近所からのおさがり、おさがりで何代も着ていた服だから生地がもろくなるのも当たり前だ。周囲もみんな似たような格好をしていた。破れたままの服を着ているのは恥ずかしいにしても、つぎの当った服を恥ずかしいと感じる子供は少なかったのではないだろうか。なにせはだしで学校に通っていた時代である。

  いつのころからか、つぎの当った服を着ている子供を見かけなくなった。豊かになって、おさがりなんてあまり着なくなり、新しい服を買ってもらえるようになった。新しい素材が開発されて、生地自体も強くなったのかもしれない。さらにつぎの当った服をあまり見慣れなくなってくると、それを格好悪いと感じる感性が一般的になっていくのかもしれない。今時つぎの当った服を着せたら、子供達は「格好悪い」と泣き出すことだろう。
  例外はある。お洒落のための肘あてがついた大人のジャケットが流行ったことがあった。あれが格好よく見えて、私も着てみたいな~と思った時期がある。

  最近は腿やお尻やあちこちを破いたジーパンが流行りのようだ。ひどく破いたのは素肌がスケスケ覗いていたりする。ジーパンを断ち切ってショートパンツ風にしたものを着ている女性もよく見かけるが、これも切り口を始末せずに糸のほつれをぶら下げているのが、彼女らのおしゃれのようだ。
  戦後の貧しい頃、時代を先取りした若者があの破れたジーパンを着ていたとしたら-------破れたままではみっともないと、息子や娘に無断で、母親がつぎを当てて補修してしまうかもしれない。
  それが今は若い人たちの流行である。流行とは面白い。格好いいという感覚も、みっともないという感覚も時代とともに変化してゆく。

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