2010-10-25
218)チリ鉱山落盤事故(その後)
昨日は何気なく見ていたテレビで、構内での生活を写したビデオの映像が公開され、何人かの作業員にインタビューする番組を流していた。いくつか感じることがあった。
地上と連絡が取れなかった絶望的な期間には、団結が強くトラブルはなかったという。地上と連絡が取れるようになり、飲料水や食料の補給も始まって、生きる望みが生まれてから、従業員同士のトラブルが増えていったとのことだった。例えば地上の家族との電話通話時間の長短を巡るトラブルなど。生きるか死ぬかの絶望の渕からすれば、贅沢なことが原因でトラブルを起こす、という事実は何か考えさせられる問題だった。
閉じ込められてからも8時間は労働時間、8時間は自由時間というペースは守っていたらしい。清掃をしたり危険な岩石を取り除いたりというような仕事を分担してやっていたという。どんな状況にあっても働くことを忘れてはいけないようだ。
朝晩、全員で神に祈ることによって、団結心が強まり、希望が涌いてきたとのこと。私は信ずる神を持たないが、極限状況の時には、神を信じ、神に祈るというのは強い力になるのかもしれない。
家族が生きる支えだったというのもいい話だった。家族に再会したい一念が、過酷な地底での70日間を支える大きな力になったようだ。
今朝の新聞では、その33人が会社をつくるという記事が出ていた。映画作成の話もいくつかもちこまれているいという。坑内で書き溜めた日記を出版する話とか、テレビ出演の話とか、70日間を材料にした仕事がいくつも舞い込んでいるらしい。
ころんでもただでは起きない逞しさと言ってもいいのだろうか。賠償金代わりだとも書いてあったが、成功を祈りたいものだ。
しかし、世界中の関心が何年続くかもわからないし、自分だけいいかっこする人がいたり、分け前で諍いがおこったり、この会社の運営もそう簡単ではなかろうと余計な心配もしたりしている。(2010.10.25)