2012-02-20
373) 大丈夫だ石
形状・・・彼は不思議な形をしている。表現力が乏しくて、私はその形状をうまく説明できない。しかし敢えて書かざるをえない。ほぼ縦5センチ、横3.5センチ、厚さ1センチ程度の楕円体、というか、そら豆を連想させるような形をしている。そのそら豆の両端を捻って、真ん中を凹ませる。するとこんな形になるかもしれない。あるいは分厚い小判を強力な力で捻ったような形ともいえるかもしれない。真ん中の凹みには『大丈夫 しんぱいするな なんとかなる』と彫り込んである。
彼はいつも私の机の上に鎮座している。時には書類の上で文鎮代わりをつとめることもある。私の掌の中でうたた寝をしていることも多い。掌の上にのせ、真ん中の凹みに親指を置き、軽く握ると、彼は我が居所を得たというように、しっくりと掌の中に納まり、不思議と私の気持ちを落ち着かせてくれる。
彼の名を『大丈夫だ石』と言う。10年以上前に知人の紹介で購入したものだ。愛すべき彼だが、重くて外出時に同行しづらいのが難点だった。最近彼の妹分を購入した。妹分は形状は同じだが、アルミ製なので彼に比べるとはるかに軽量だ。以来、重量級の彼は会社の机の上で、軽量級の彼女はスーツの内ポケットの中で、会社の内と言わず、外といわず、常時「なんとかなる」と私を勇気づけてくれている。彼らのご利益をうけ、「なんとかなるの心」で、人生の最後までてげてげに生きてゆきたいものである。
販売元『勘左衛門』のホームページによると、購入者が20万人に達したという。そこに挙げられた宣伝文句を引用しておく。
「開きなおりたいとき」「心配でたまらないとき」「平気の平左衛門になりたいとき」「リラックスがほしいとき」「元気を出したいとき」「やっかいな問題に直面したとき」「まあええか、の気分がほしいとき」「苦手な相手に会いに行くとき」「辛い話をするとき」「テストを受けるとき」「大手術のとき」「人のうわさが気になるとき」
そんな時に効用があるそうだ。(2012.02.20)