2023-07-26
1306)街角ピアノ
奏者の中には、地元の人がいる、旅行者がいる、留学生がいる、戦乱を避けるために母国から逃れてきた難民がいる、あるいはIT技術者がいる、学生がいる、主婦がいる、経営者がいる、プロのミュージシャンもいる・・・それぞれの奏者が奏でるきれいな音色をバックにして、そんな個人のヒストリーが語られる。
楽しい番組だな、いい番組だな、と一発で気に入った。それからも時々この番組にチャンネルを合わせている。
かといって、自分でピアノが弾けるわけではない。それどころかピアノには触ったこともない。私が通った片田舎では、小学校にも中学校にもピアノがなかった。音楽教室にオルガンが1台あったものの、これにも触ったことがなかった。がさつな家庭に育った私は、ピアノどころか管楽器も弦楽器も、なべて楽器というものに無縁だった。大人になってからも、音痴を言い訳に楽器には距離を置いてきた。
それなのにと言うべきか、それだからこそと言うべきか、今更になってピアノが弾けたらいいなあ、と悔しい思いをしている自分がいる。
「街角ピアノ」はその後、「空港ピアノ」や「駅ピアノ」とすそ野を拡げた。遠い外国の街角どころではない。私が済んでいるこの北九州にあっても、近頃、小倉駅、折尾駅、黒崎駅と、次々に「駅ピアノ」が出現した。
ピアノが弾けたら良かったのにな、という無いものねだりの願望が80を過ぎて膨らんでいる。上手にピアノが弾ける孫を羨む気持ちもどこかに芽生えている。
(2023/07/26)